朝焼けの赤岳・阿弥陀岳

初冬の八ヶ岳(オーレン小屋周辺を散策)

 10月中旬は天気が良く暖かな日が続いていましたが、この日から日本列島に寒波が押し寄せ、八ヶ岳の寒さは堪えました。オーレン小屋前に溜めてある水は叩いても割れないほどの厚い氷が張っていましたし、硫黄岳山頂近くの山道は背の高い霜柱が林立していました。

 なお紅葉は、途中の“三井の森”や林道から見上げる山は美しかったのですが、登山道周辺には全く見られませんでした。



【登山日】平成11年10月17日(日)〜18日(月)
【天 気】午前:晴れ 午後:ガス
【メンバ】夫婦
【山 名】八ヶ岳(東天狗岳、峰の松目、硫黄岳)
【地 図】昭文社 山と高原地図32 八ヶ岳・蓼科 5万分の1 1999年版
【コース】
1日目 桜台林道ゲート(9:15発→9:45着)夏沢鉱泉(9:50→10:35)オーレン小屋(11:10→11:50)箕冠山(11:55→12:15)根石岳(12:20→12:50)東天狗岳(13:40→14:15)箕冠山(14:20→14:50)夏沢峠(14:55→15:20)オーレン小屋
2日目 オーレン小屋(6:40→7:40)峰の松目(7:50→9:00)赤岩の頭(9:05→9:30)硫黄岳(9:50→10:10)硫黄岳山荘(10:40→11:05)硫黄岳(11:10→11:25)赤岩の頭(11:30→12:20)オーレン小屋(12:35→13:15)夏沢鉱泉の下(13:45→14:05)桜平

【交通手段】マイカー

1日目:10月17日(日)

林道から山腹の紅葉を眺める

 6時に自宅(西立川)をマイカーで出発。八王子ICから中央高速を走る。7時半に八ヶ岳PAへ到着。ここで目の前に編笠山や金峰山を眺めながら約30分の朝食休憩。

 諏訪南ICで下りて“河原の湯”を目指して走る。“河原の湯”って何だ?と興味を示すが、道路沿いには何も見えなかった。上槻木バス停の先で左折し“三井の森”に登って行く。突き当りを右折し、紅葉が綺麗な別荘地帯を抜けて行く。フォレストカントリークラブを左に見て舗装路が終ると唐沢鉱泉へは直進、夏沢鉱泉へは右折する。右折して荒れた林道を進むと、昨夜、夏沢鉱泉に宿泊した中高年の団体がゾロゾロと下山してきた。途中で沢を渡る場所もあるが、意外と難なく桜台に到着した。なお私の車は4駆だがステーションワゴンであり、それほど車高は高くない。

 桜台の車止めゲート前は数台の車が停まっているのみだった。準備体操をしながら下山してきた夫婦に山の状況を聞く。前日まで天気が悪く、全く展望は得られなかったそうだ。それにしてもこの日は快晴である。青く濃い空の色と、涼しい空気が心地よい。(^_^)

 歩き始めは、ゲートを摺りぬけ林道を下って行く。そして橋を渡り登り始める。沢沿いに30分歩くと夏沢鉱泉に到着。ここまで宿の車は入っている。なおオーレン小屋の車が、もう少し先の林道に停めてあった。夏沢鉱泉は綺麗で立派な旅館だ。振り返ると槍穂周辺の北アルプスが姿を見せている。年老いたら泊まってみたい。

 ここからは苔むした森林帯を左右に見ながら広い登山道を登っていくと、正面にオーレン小屋の屋根が見え、ナナカマドの紅葉の先には硫黄岳が見えてきた。ところで日曜日というのに下山してくる人の姿が無い。桜平からオーレン小屋まで殆ど人に会わなかった。先週の3連休でシーズンが終ったようだ。オーレン小屋も11月4日で今年の営業を終了ということだ。



小屋前から峰の松目を仰ぎ見る

 小屋前のテーブルで軽い昼食を取ろうとしたら、ご主人が現れてお茶をご馳走になった。小屋仕舞いの準備を始めていて『もうお客は来ないよ!』今夜も予約は我々だけだという。『今夜は干したばかりの布団をふんだんに使いなさい。』 気さくなオヤジさんである。(^_^)


 その後、無駄な荷物を預け天狗岳へ向けて出発。シラビソの生い茂る原生林の中に登山道が延びている。箕冠山は夏沢峠への分岐点だ。山頂はどこだか不明。少し進むといきなり展望が開け、下に根石小屋、正面に天狗岳の二つの頂が聳えている。左手遠くには槍ヶ岳を中心にした北アルプスの雄姿が並んでいる。



根石小屋の上から天狗岳を眺める 根石小屋の上から西天狗岳と北アルプスを眺める

 ここからは森林限界を越えていて背の低いハイマツやシャクナゲ地帯なので気持ちが良い。いったん下り、根石小屋の前に広がるコマクサの保養地を通りぬけ根石岳に登って行く。 根石岳も素晴らしい展望台だ。天狗岳の頂上には大勢の人の姿が見える。ヤッホー!と声を掛け手を振ると多くの人から反応があった。(^_^) なお、こちらは誰もいない。オーレン小屋からも全く人に出会っていなかったのだ。



根石岳頂上から北八ヶ岳南部の雄姿を眺める

 ここから下り天狗へ登り返すと佐久側に湧きあがるガスの中に丸い輪が出来ている。ブロッケンの妖怪が登場だ。今まで何度も出会っているが、今回も立ち止まって手を振って楽しんでしまう。

 東天狗岳山頂に到着。この頃から風が強くなり寒くなって来た。岩陰の風が弱い場所に陣取って大休止。双眼鏡で山座同定を始める。ナ・ナント!北アルプス北部の山が白いではないか。私の判断では剣岳と大日岳だ。鹿島槍は黒いのだから富山県のみ雪が降ったのだろう。槍・穂高など北アルプス南部の山は雪の気配が全く無い。乗鞍岳、御岳山、中央アルプスもハッキリ分かる。当然、八ヶ岳南部の主脈達(編笠・権現・阿弥陀・赤)も雄姿を誇っている。但し、徐々にガスってきて姿を隠しつつある。そして完全に周囲がガスに包まれ、隣の西天狗岳も見えなくなった。当初は西天狗を往復するつもりだったが止めて下山を開始した。(約10年前に西天狗からの大展望を楽しんだ経験有り)

 風が強くなり寒い。軍手をしていた指先の感触が無くなってしまった。冬山用の手袋に替えたがしばらく感触が無くなっていた。高い山の天気を甘く見てはいけない。反省。(^^;

 下山は箕冠山から左に進み、夏沢峠経由の道を歩いて見る。雰囲気の良い道だ。ナナカマドの葉も落ちて山は冬支度に入っている。夏沢峠のヒュッテ夏沢と山びこ荘は既に閉まっていた。普段は賑わいそうな夏沢峠も静まりかえっている。途中で単独の男性に出会ったが、他には結局オーレン小屋まで一人にも出会わないという静けさだった。

 小屋に入ると男性がストーブの横で休んでいた。やがて彼の奥さんがお風呂から帰ってきた。そしてもう一人は従業員の友達らしい若い外国人がいて、結局泊まり客は我々を含めて計5人だった。もちろん部屋は個室。さっそく着替えてお風呂に行く。お風呂は小屋前の別棟にある。外の風呂釜では薪が勢い良く燃えている。まだ電気が点いていない時間なので薄暗い。そしてお湯が非常に熱い。窓側に溜めてある水桶からバケツで水を汲み風呂桶に入れて湯温を下げてから入る。やっと適温になり、入ると風呂桶が非常に深い。私は座高が高いのでなんとか座れた。(^^;

 風呂上りにストーブの前でビールを飲む。そして夕食の時間になり、私達は肉料理を頼んでいたので別棟の食堂に行く。この小屋は肉料理と和食の2種類があり事前に選択しておくのだ。

 外人は和食、日本人の4名は肉料理を予約していた。(^_^) 別棟に行くとジンギスカン料理が用意してあり4名で悠々と食事を楽しんだ。なお、旬のキノコ汁も出て、美味しかった!

 食事の後はストーブの周りでノンビリと過ごす。小屋の周囲は倒木が多く、お風呂もストーブも薪には困らないだろうと従業員に聞くと、営林署が指定した木のみ許可されて、無断で倒木を運んではいけないそうだ。

 さて、何もすることがないので早めに寝ることにする。好きなだけ布団を使って良いというので、敷布団、毛布2枚、掛布団を運んだ。なお外のテント場には誰もいない。本当に静かな夜だ。

 深夜に時々、鹿?の鳴く声が無気味に聞こえた。



2日目:10月18日(月)

 寒い朝を迎えた。なんと部屋の温度は零度だ。顔を洗いに外へ出ると、溜めてある水が凍っていて叩いても割れないほどの厚さだ。顔を洗う水は沢の水なのだが冷たい。あたり一面の地表は霜で真っ白。

 他の客は自炊なので朝食は我々二人のみ。5時45分から食事をしてゆっくり支度をする。今日も不要な荷物を小屋に預けて6時半過ぎに峰の松目に向けて出発。小屋前の橋を渡りテント場の横を硫黄岳に向けて登って行く。



峰の松目展望台からの赤岳と横岳

 倒木の多い樹林帯をしばらく登ると分岐があり、峰の松目は右に進む。苔むした山肌を横目に見ながら登っていくと稜線に出る。ここにザックを置いて空身で登る。展望台に到着すると正面に南アルプスが見える。霜で滑りやすい階段を慎重に降りると、正面に横岳の岩壁が聳え迫力有る光景だ。朝日が赤岳や阿弥陀岳を赤く染めている。真下の樹林帯には赤岳鉱泉の小屋が可愛らしく建っている。



峰の松目頂上。樹間から赤岳が見える

 さて、ここからは急登が始まり両手を使って一気に登る。再び稜線に出ると樹林越しに中央アルプスが望める。少し歩くと峰の松目頂上に到着。ここは樹林に囲まれ展望は期待出来ない。記念写真を撮って戻る。

 ザックをデポした場所まで戻り、硫黄岳に向けて出発。樹林に囲まれた稜線歩きだが、静かで気持ち良い。今日も誰一人として出会っていない。霜柱を踏みながら登って行くと森林限界を越え、目の前に硫黄岳が迫って来た。赤岩の頭に到着すると人の姿がチラホラ見え出した。赤岳鉱泉から登る人が多いのだろう。

 紺碧の空の色が美しく南八ヶ岳の雄姿が映える。早朝の爽やかな空気を胸一杯に吸いながら頂上へ向けてユックリ歩く。9年前の1月に雪山訓練で来たことがあるが、その時は吹雪のため視界は数メートルだったし、涙が凍ってしまうほどの寒さだったので、硫黄岳へのルートに記憶が全く無い。



硫黄岳頂上からの展望。天狗岳の後方は蓼科山。

 広い頂上に到着すると10名ほどの人が寛いでいた。私はお目当ての爆裂火口を覗きに行く。話には聞いていたが凄い絶壁だ。下のほうに見える紅葉が混じる樹林帯の色とは対照的に硫黄の白っぽい黄色が印象的な岩壁だった。360度の展望を楽しむ。写真を撮るのも忙しい。デジカメは電池が切れてしまい、銀鉛写真はフィルムが無くなってしまった。(^^;

 ケルンが連なっている硫黄岳山荘方面へ出発。浮石が多く歩きにくい登山道だ。今日の予定は横岳までの往復と思っていたが風が強くなってきて寒いし、硫黄岳山荘で休んでいるとガスが湧いてきて周囲の景色が見えなくなってしまった。あっさり諦めて戻ることにした。



硫黄岳の爆裂火口

 硫黄岳頂上も既にガスに包まれ展望は無し。赤岩の頭からオーレン小屋への道を下る。霜が溶け出していて滑りやすい。途中で休んだが1時間弱でオーレン小屋に到着。すると硫黄岳方面は晴れていた。山の天気は変わりやすいものだ。

 預けておいた荷物を詰めながら、小屋前のテーブルで従業員とパソコン通信やインターネットの話をする。肉料理を勧められた理由や、先週テント泊した人が風呂に入るのを遠慮した話もしたら興味津々だったので、フォーラム名(FYAMATRK)をメモに書いて紹介しておいた。彼はシーズンオフの間に小屋のホームページを立ち上げたいと言っていた。そして来年のオーレン祭(6月?日)には是非来て下さいと誘われる。話は尽きないが、お別れの挨拶をして下山を始める。

 時間も早いのでノンビリと下るが、あっけなく夏沢鉱泉に到着。ここで休憩しようと思ったが煙いので少し下った林道の脇でコーヒータイムとした。するとオーレン小屋の親父さんが昨日の外人客を乗せた車で下って来て『乗って行きませんか』と誘われるが遠慮しておいた。

 帰路の中央高速も月曜日なので空いていて全く渋滞もなく無事帰宅できました。



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